新潟県医師会への提言に応募し、当選しました

研修医2年生の澤田です。

小林先生が先日投稿されていたので(注釈含めてかなりのボリューム)こちらも応募した文章を投稿(対抗)したいと思います。

2年間研修の集大成として応募し、研修医奨励賞優秀賞をいただきました。


表題:糸魚川総合病院での初期臨床研修から考察する今後の上越地域医療のあり方

 医療はなくてはならないインフラであり、行政に並んでその地域の存続を大きく決める要素である。私は新潟県最西端にある上越医療圏に属する糸魚川市の新潟厚生連糸魚川総合病院で初期臨床研修をしている。この地域は全国的に見て少子高齢化、人口減少が進んでおり、他の地域のモデルになれる可能性がある。今回は私が経験した研修を一部紹介し、そこから今後の上越地域医療のあり方について考察する。
 まず私が研修している糸魚川市と糸魚川総合病院(糸病)について紹介する。人口は約40000人で減少傾向にある。高齢化率は「糸魚川市第3次総合計画」によると40%であり全国的に見て、20年早いペースで進んでいる。立地も特殊であり、北は日本海、東西南は山に囲まれており、上越市や富山県黒部市までは高速道路で50分の時間を要し、災害時には陸の孤島になることもある。一方で、上記「第3次総合計画」によると糸魚川市民は「地域医療体制の維持・充実」を最も求めている結果であった。糸病は糸魚川市の1、2次救急を担っているが、上記の特殊な立地から糸魚川地域で発生する多くの患者はまず当院に収容されることが大きな特徴である。
 この2年間、私は多くのことを学ぶ機会に恵まれたが、ここでは2つ紹介する。1つ目は糸病での研修である。診断や治療選択、3次医療機関への搬送の判断や、対話を通じて個人のニーズに応じることを学んだ。入院早期から退院後の生活を想定し、病院の枠をこえた地域との連携の重要性を理解した。また限られたスタッフ、資源の中でどのように最善の医療を提供できるか、限界についても考える機会があった。2つ目はハワイ研修である。縁あってHospitalistの先生につき2週間研修させていただいた。医学としてHospitalistの標準化や質の高さに驚いた。さらに、ハワイ州の医療体制についても学ぶことができ、合理性に基づくシステム構築や分業化が進んでいた。カルテはハワイ州の他院とも連携しており今までの医療情報について、全てアクセスすることができる。周囲から常に評価がされるシステムの中で、医師内での分業も多岐にわたっていた。全てをそのまま日本でとは、医療制度も異なるため難しいとは思うが、日本に合わせた応用は可能であると感じた。
 これらを踏まえ、上越地域で今後も医療するために必要なことについて考察していく。大きくポイントは、集約と分業、教育だと考える。まず、集約と分業だが、地域医療構想での上越医療圏の病院の統合・機能分化に加えて、診療所、介護施設を巻き込み、各地域(上越、糸魚川、妙高)でそれぞれ設備を一つに集めることを提案する。そうすると労働者や機材は一箇所に集めることができ、管理しやすい。カルテの共有化はこれまでの病歴や、内服薬の把握、­今後の介入の程度(DNARACPについて)がわかり、的確な医療を提供できる。介護施設と病院のベッドの共有化を行うことで早期調整・入所が見込まれること、諸経費削減、地域ケア病棟もより効率化し医療経済としても良い。現在の開業の医師は外来を継続し、現在の勤務医の医師は一般外来業務行わず、病棟や手術を担当し役割を分ける。さらに、ジェネラリストとスペシャリストで分業し、基幹病院にはスペシャリストの比率を、地域病院にはジェネラリストの比率を多く配置する。これらの分業で限られた資源で効率的に業務が行える。
 人口増加の時代では、医師の世界も細分化した専門性のある人材の育成に力を入れてきていた。しかし、人口減少にある今、地域医療で多く必要とされるのは、ハワイで見た、組織で標準化されている幅広く診ることのできる総合科医の存在である。地域単位での医療の標準化や熱のある指導医の存在は欠かせない。労働人口が減少している現代で地方の病院へそのような人材を集めるにも工夫が必要である。そこで私が注目するのは教育である。教育の環境があると、教えるため指導医も指導のために知識の更新に研鑽をつむ。若手もそれを受けて研修を行え、その人たちがやがて指導する立場になる。結果、組織としての標準化も進み、その地域の医療の質は上がり、研修をしたいと学生が興味をもち研修医として…という良い循環を起こす。これを上越地区の病院群として、初期臨床研修や専攻医研修のプログラムで行えば良いと考える。この地域は、今後の高齢者社会の日本のモデルになるかもしれない地域である。地域性に応じた医療を学び、地域の課題を考え、提案し、地域のあり方や仕組みを変えることができるかもしれない。
 高齢者の増加や人口減少により地域の縮小化は免れない。しかし、そこに残りたい住民がいる限り、医療は必要であり、合理性だけでは判断できないこともたくさんある。今後も、地域にとってより良い医療を提供する最善の術はなにか考えながら、医療に携わっていきたい。

また、選考時の発表スライドの一部を以下に参考程度に載せます。
















 糸魚川での研修したからこそ上記の内容を書くことができ、いただけた賞だったと思います。感謝いたします。
 私たちの代も今月で糸病研修医を卒業しました。2年間良き仲間や先生方、スタッフに囲まれてあっという間の楽しい日々でした。2年を振り返っての投稿を最後にしようと思います。お楽しみに。

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